サヨナラからはじめよう

彼が連れて来てくれたのは洋画で、恋愛ありのヒューマンドラマだった。
最近とても人気があるという噂は聞いていた。
・・・でも映画館なんて来る機会もなかった。

噂通り笑いあり涙ありハラハラありでとても楽しかった。
最後の最後まで展開が読めなくて観客を惹きつけた。


・・・・はずなのに。



「・・・・さん、涼子さん、終わりましたよ」

どこか近くから呼ばれてる気がする。
近くから・・・・
・・・・・ハッ!!!

ガバッと体を起こすと至近距離で顔を覗き込んでいる中村君と目があった。

「あ、あたし・・・・」

「大丈夫ですか?やっぱり具合悪いですか?」

一瞬ここはどこだろうなんて考えてしまったが、
すぐに今自分が置かれている状況をを思い出す。
と同時にサーッと血の気が引いていくのがわかった。

「ご、ごめん中村君っ!!寝ちゃうとかなんて最低なの・・・ほんとにごめんなさい!!」

必死で頭を下げて謝った。