サヨナラからはじめよう

自覚があるだけに咄嗟に頬をおさえる。
相当間抜けヅラだったに違いない。

「行きましょうよ。気分転換にもなりますよ?」

ハッとして中村君を見た。
目が合うと彼は優しく笑った。

彼は私が今落ち込んでることに気付いてる。
その原因もなんとなくわかっているんだろう。
でも無理に聞き出そうとはしない。
その上こうして元気づけてくれようとしている・・・

ひどく落ちた自分にはその優しさが痛いほど染みてくる。
中村・・・・あんたいい男過ぎるやろ。
反則すぎるよ!

でも、正直彼の申し出はありがたかった。
明日からの土日、どうやって家を空けようかと思っていたから。
司と二人きりでいるのは耐えられなかった。

タイムリミットは日曜日。
約束を放棄するような無責任なことはしない。
でもこれ以上接点をもちたくない。

とにかくあとはひたすらその時が来るのを待つだけだ。