なんで恋人じゃないって聞いてそんな顔するのよ。
私に恋人がいようがいまいがあんたに関係ないでしょ?
しかも記憶もないくせに。
思わせぶりな態度取るんじゃないわよ!

なんだか今日の強引な行動と共に、
妙に腹が立ってきた。
このまま恋人がいないと思い込まれるのも癪だ。


「彼は恋人とかじゃなくて割り切った付き合いっていうか」


気が付けばそんな虚勢を張ってる自分がいた。

「・・・・・・・・・・・・・え?」

ようやく意味を理解した司は驚愕に目を見開いて固まった。

こんな嘘を言って何になるんだろう。
目の前にいる司はあの頃の事なんて何一つ覚えてなんかいないのに。

それでも、過去なんて何事もなかったように
目の前でヘラヘラ一喜一憂している司に苛立っていた。
自分だけ何も知らずにのうのうと過ごしているのが許せなくなった。

・・・・何でもいいから傷つけたかった。