サヨナラからはじめよう

「・・・・天然タラシ」

「えっ?何か言いましたか?」

「何でもない」

ボソッと呟いた言葉がアイツに届くことはなかった。





「あ~、疲れた」

腰を下ろすと同時にその言葉が口をついて出ていた。

あれから散々見て回り買い物を済ませると、
いつの間にか結構いい時間になっていた。
だから結局ここで食事をとって帰ろうという話になった。

和食のお店に入り、そのまま案内された個室の座敷へと入った。

「今日はありがと。なんだかんだで助かったわ」

「いえ、そんな。こちらこそ迷惑しかかけてないので。何か一つでもお役に立てたなら良かったです」

「お礼と言ったらなんだけど、今日は飲んで構わないよ」

「えっ?」

「あれ、飲めない人?」

なわけないよね。

「いえ、そんなことは・・・・ないと思いますけど」

「じゃあ決まり。たまには飲みなよ」

そう言われても司はなんだか戸惑ったような様子だ。