「あ～でも、こうやってあっという間に中村君に追い越されちゃうんだろうな」

彼の能力を考えれば当然のことだけど、それは思っていたより早くなりそうだ。

「何言ってるんですか。僕の成長は涼子さんあってこそじゃないですか」

「え？」

「僕が入社してから涼子さんが丁寧に指導してくれたから今の僕があるんです。だからどんな成果も全て涼子さんのおかげですよ」

「中村君･･･」


いつも小生意気な彼が急に真面目な顔でそんなこと言ってくれちゃったら、
不覚にも泣けてくるじゃないか。
いかんいかん！今はまだ仕事中だ。

気持ちを入れ替えて彼の顔をもう一度見る。

「そんな嬉しいこと言ってくれる後輩にはお祝いしないとね」

「え、それじゃあ･･･」

「今日行こっか」

グイッと飲む仕草を見せるとしばらくして嬉しそうに中村君は頷いた。

「はい！楽しみにしてます」

「うんうん、今日はいくらでも飲んでいいから」