「・・・・あ~、イライラする」


ゴスッとデスクに頭をつけて独りごちる。


今朝家を出るとき、あいつはひどく落ち込んでいた。
それでも必死に笑顔を作っていたが、
昨日告げられた事実は相当なショックだったようだ。


なんだかひどい罪悪感を感じる。


記憶をなくしたばかりのアイツには酷すぎたんだろうか?
いやいやでも、紛れもない事実なんだからどうしようもない。
何度アイツのせいで嫌な思いしてきた?
女の痕跡を見せられる度にどれだけ泣いてきた?


記憶がなくなったからってそれらが消えるわけじゃない。


そう、だから私は間違ってなんかいない。
そう思うのに、あの悲しげな顔を思い出すとひどく気分が落ち込む。



「はぁ~~・・・」

その時、事務所の扉がバタン!と激しく開いた。