「あの・・・僕と涼子さんはどこで知り合ったんですか?」

シンプルだけど当たり前の疑問だろう。
敢えて隠す理由もない。

「大学が一緒だったの。あなたは一年先輩だった」

「そうだったんですか・・・あの、ちなみに僕は何を専攻してたんでしょうか?」

「建築科。将来建築デザイナーになりたいって言ってた」

「建築・・・それで、卒業後は・・・」

「そこまでは知らない」

はっきりそう口にすると司は明らかに落ち込んだ顔を見せた。

「そっか・・・僕は今どんな仕事してるんでしょうね。無断で休んでることになるのかな・・・もしかして無職だったりして」

ははっと少し自虐的に笑う。


嘘だよ。
知ってるに決まってる。
だって3年前まであんたと付き合ってたんだから。
でも私からそれを口にするつもりはない。
本当のことを言ったところで何かが変わるわけでもあるまいし、
私にはもう関係のないことだから。