「・・・あの!ちょっとだけいいですか?」

片付けも終わり自室へ戻ろうとしたところで司に呼び止められた。

「・・・・何?」

「あの・・・僕のことで知ってること、何でもいいので教えてもらえませんか?」

「・・・南條司、私より一つ上だから28歳。・・・じゃ」

それだけ言い残して再び歩き出そうとした私をあいつは慌てて引き止める。

「あぁっ!!もう少し!もう少しでいいので何か・・・お願いします!」


司が引き止めるのも無理はない。
名前と年齢は来たその日に教えているのだから。
毎日毎日この不毛なやりとりが続いて今日で3日目になる。
ここにいていいと言った期限は一週間。
あっという間に過ぎる時間に焦るのも当然だろう。

はぁと盛大な溜息をつくと黙ってリビングまで戻り、再びテーブルに腰掛けた。
それを見た司はぱっと嬉しそうな顔に変わると走って向かいの席に座った。

「・・・名前と年齢聞いて何か思い出したことはないの?」

その言葉に顔を曇らせる。

「・・・すみません、頑張ってはいるんですが・・・」