「本当だな」

くしゃっと子どもみたいな顔で笑うその姿に、恨めしい気持ちが形を潜めてキュンキュン胸が締め付けられる。
・・・まずい。自分で思っている以上にこの男に毒されているのかもしれない。

「ほんとにごめんな。ご飯は俺が今から作るから。オムライスでいい?」

ぴくっ。
オムライス?・・・・・食べたい。
あぁ、こうやって胃袋まで鷲掴みにされている私は、認めたくないけれどもう完全に彼のペースにはまっているのだ。

「・・・・大盛りで。もう体力限界だから」

ぼそっと言った私に一瞬だけ驚いた顔をしたけれど、その後はすぐに満面の笑みを見せた。それはそれは嬉しそうに。

「かしこまりました、お姫様。じゃあ俺が作ってる間に涼子は先にお風呂入ってて。すぐに準備するから。起き上がれる?手貸して、ほら」

もうほとんど力の入らない私の体を引き起こすと、シーツを巻き付けてそのまま抱き上げた。こんなの恥ずかしいと思っても、もう反論する気力も残っていない。

「・・・・涼子、いっこだけ聞いてもいいか?」

「・・・・何?」

歩きながら司が神妙な面持ちで聞いてきた。