・・・・・そんなに?
そんなに不安だったの?私がいなくて?
そんなにあなたの中での私は大きい存在なの?

もう暗くなってるとはいえ、会社の目の前で男と抱き合うなんて考えられない。
絶対にあり得ない!そう思うのに。
私一人にこんなに一喜一憂してしまうこの男がたまらなく可愛い、
そしてたまらなく愛しく思う。
そんな私も相当なバカってことなのかもしれない。

大きな背中に手を伸ばすと、ポンポンと優しく撫でた。

「大丈夫だよ。夢じゃないから。もうどこにも行かないから。だから安心して?」

ゆっくりと体を離すと、目尻を下げた情けない顔で司が私を見つめる。
なんだかまるで捨てられた子犬のようで思わず笑ってしまいそうだ。
長くて綺麗な手が私の頬を撫でる。その動きが私を好きだって伝えてくる。

「・・・・言っとくけど、ここでキスはだめだからね?」

先手必勝。
今にもキスしそうな勢いの彼には先に釘を刺しておかないと。
もう今日は色んなことで充分恥ずかしい思いしてるんだから、これ以上は勘弁!
案の定、司はわかりやすくガッカリしている。危ない危ない。

「じゃあ帰ろう。そしていっぱいしよう?」

「え?」

そう言うと司は私の手を握って歩き始めた。