サヨナラからはじめよう

「涼子っ!!!!!!」

次の瞬間、私の体は大きな司の腕の中にすっぽりと閉じ込められていた。
それはもう凄まじい力で。
ぐ、ぐえぇっ!こ、呼吸ができないっ!!
タップタップとばかりになんとか司の背中を叩いたものの、何を勘違いしたのかバカ男の締め付ける腕はさらに力を増してしまった。
し、死ぬ~~~~!!!!!

「涼子さん死んじゃいますよ」

「え?ってあぁっ!涼子、すまないっ!大丈夫かっ?」

ようやく緩められた腕の中でぜーはーぜーはー必死で酸素を吸い込む。

「こ、殺されるかと思った・・・・」

「ほんとにすまないっ・・・あまりにも嬉しくて、俺・・・・」

顔面蒼白でゼーハーうるさい女と、図体はでかいくせにその女よりも縮こまってペコペコ謝る男。なんとも情けない構図だ。

「ぶっはははははは!お二人ってお似合いですね。なんかもう、ほんとに俺の入り込む隙なんて微塵もないんだって見せつけられました。はー、俺もこれですっきり諦めがつきそうです。・・・涼子さん、これからはまた一後輩としてお世話なになります」

「中村君・・・」

「それじゃあお疲れ様でした。・・・・お幸せに!」

イケメンオーラ全開の笑顔を振りまいてそう言うと、中村君はその場を離れていった。