一 触 即 発
まさに現状を表すには最も相応しいこの言葉。
男同士の激しい睨み合いにどうしたらいいのかオロオロするしかできない。
「・・・・・フッ」
その時鼻から抜けるような声がした。
と思ったら。
「あっはははははははは!・・・・あ、すいません、可笑しくて」
突然お腹を抱えて中村君が大笑いを始めた。
意味が分からず私は呆気にとられ、司は額に青筋立てて今にもブチ切れそうだ。
「おい、おまえ・・・・」
「よかったですね、涼子さん。ちゃんと本気じゃないですか」
「え・・・?」
中村君は私の方に向き直ると、ニコッと眩しいくらいの笑顔を見せた。
「南條さん、涼子さんに本気じゃないですか。・・・ってまぁそんなことはとうの昔に知ってたんですけどね。でも真剣に涼子さんを好きになって振られた身としては、きちんとその覚悟の程を見せてもらわないと納得できないっていうか。だから試させてもらいました。すみません」
「中村君・・・・」
私のため?そのためにわざと悪ぶってくれたの?
「おい、お前振られたってどういうことだよ」
「・・・わかりませんか?そのままの意味ですよ。涼子さんに告白したけど振られたんです」
その言葉に司の目が驚きの色に染まる。

