サヨナラからはじめよう

「中村君、本当にありがとう。あなたのおかげで私は自分の気持ちに気付くことができた。そしてあなたの気持ちに応えることができなくて････本当にごめんなさい」

言葉と同時に頭を下げる。涙が出そうになったけど必死で耐えた。

「やめてくださいよ、涼子さん。俺も涼子さんには感謝してるんです」

「････え？」

「俺、今まで相当適当に遊んできたんですよね。今思えばほんとに酷い男でした。でもそんな俺でもちゃんと一人の人を真剣に好きになれるって気付かせてくれたんです、あなたは。もちろん俺に振り向いてくれたら一番理想的でしたけど、人生そんなに甘くないですよね。振り向いてもらえなかった人達の気持ちが俺自身今ようやく理解できたんです。だから、これからの俺にとって本当にいい転機になりました。感謝してます」

「中村君････」

ずっと我慢してきた涙がぽろっと零れ落ちた。

「あぁ、泣かないでくださいよ！俺はその涙を拭ってあげられないんですから、ね？笑ってください」

「･･･ん、うん･･･ほんとにありがとっ････」

「も～、最近の涼子さん泣き虫すぎですよ」

「ご、ごめ゛っ････」

アハハと笑われながらも、彼は私が泣き止むまで優しく待ってくれた。


中村君、本当にありがとう････
あなたが私にとって大切な後輩であることにずっと変わりはないから。
これからも良き同僚としてよろしくお願いします。