「な、なにこれ・・・」

テーブルに並べられた料理に唖然とする。

「あれ、もしかして嫌いなものでもありましたか・・・?」

料理を見て固まる涼子に司は焦った様子で聞いてくる。

「あ、いや・・・別に。男の人なのに随分可愛い料理作るんだなと思っただけ」


そう言って椅子に座ると、あらためて目の前の料理に目をやった。
オムライスにオニオンスープ、アボカドのサラダ。
30手前の男が作る料理だとは到底思えない。

・・・・・・・どうして?
記憶がないんじゃないの?
だってこのメニューは・・・・

「じゃあ食べましょう!」

行儀良くいただきますとお辞儀して食べ始める司の姿、
・・・・何も変わらない。
あの時と。何一つ。

「・・・いただきます」

司の後に続いてオムライスをゆっくり口に運ぶ。

「・・・・おいしい」

「本当ですか?良かった!」

本当に嬉しそうに笑う顔も、何も変わらない。