「・・・はぁ~、おいしかった!」

空になったお皿を前に私は満足げにお腹を撫でる。

「今日は凄い食べっぷりでしたね」

「だってお腹空いてたんだもん。朝もなんだかんだで食べる暇なかったし。こんなにおいしいなんて、この前はもったいないことしちゃったなぁ」

そう言って紅茶を口にする私を見ながら中村君は笑う。

「・・・涼子さんが少しでも楽しんでくれたならよかったです」

「え?」

「・・・最近、ずっと塞ぎ込んでたでしょう?」

「・・・・」

ついさっきまでのお気楽な空気はどこへやら。
中村君はとても真面目な顔で私を見ていた。
手にしていたカップをソーサーに置くと、二人を微妙な空気が包み込む。


「・・・俺、涼子さんに謝らなきゃいけないことがあるんです」

「・・・え?」

突然彼が言い出したことが全く理解できない。
謝る?私に?一体何のこと?
状況が飲み込めない私をよそに、中村君はゆっくり言葉を続けた。

「俺、あの人に言ったんです」