「お昼はどうしますか?涼子さんの好きなところでいいですけど」

「う~ん・・・あっ、じゃあこの前のお店また行きたい!この前は熱があったせいでちゃんと食べられなかったから」

「了解です。マスターも喜ぶと思いますよ」


それから私の希望通り、中村君が以前バイトをしていたお店へと移動した。
中村君の言ったように、私たちに気付いたマスターはとても嬉しそうに迎えてくれた。
何も言わなくとも前回と同じ窓際の席に案内されると、
中村君はカレーを、私は前回のリベンジも兼ねてオムライスを注文した。

「涼子さんってほんとにオムライスが好きなんですね」

「・・・うん、好きだよ」

「子どもにも人気のメニューですもんね」

「そうだね」


・・・本当は子どもの頃はそこまで好きじゃなかったんだ。
ここまで好きになったきっかけは・・・あいつだ。
司の作るオムライスが本当においしくて大好きだった。
だから気が付けばいつの間にか自分の大好物になっていた。

「・・・涼子さん?」

「あ、なんでもない」

笑って誤魔化すと、それからはたわいもない話で盛り上がった。