今日の映画はコメディタッチの洋画だった。

『まったりした映画より笑えるものの方が涼子さんも眠くならないでしょう?』

中村君の言葉は非常に悔しいが、的を射ているため反論の余地がない。
それに、これは彼なりの私に対する気遣いだとわかったから。
最近何かと考え込むことの多かった私のために、気楽に笑える映画を選んでくれたのだと思う。

そんな彼の思いやりが身に染みる。
だからこそいつまでもずるずるなんてことはやめて結論を出さなければならない。
今日のこの時間を無駄にしては彼に失礼だ。


全く眠れていなかったけれど、今日はちゃんと映画を楽しめた。
大いに笑い、意外にも泣けるところもあって、期待以上のものだった。
普通に自分にとっていい息抜きになっていた。



「今日は寝てなかったですね」

映画館を出ると間髪入れずに中村君がそんなことを口にした。

「ちょっと~?ちゃんと見るって言ってたでしょ!」

「そうですけど、涼子さんならやりかねないと思って・・・」

「なにそれ、どういう意味っ?」

「そのまんまの意味ですけど・・・」

「中村君っ!」

ぷりぷり怒る私を尻目に中村君はあははと大笑いする。
あぁ、なんか本当に気持ちが楽だな~・・・