サヨナラからはじめよう

「だから恋愛に対する不信感が相当ひどくて。・・・それでも高校の時には生まれて初めて好きな女の子ができたって喜んだことがあって。凄く優しくて物静かな女の子で、やがてその子に告白されて付き合うようになったんです。あんなに嬉しそうな彼を見たのは初めてでした。・・・でも」

そこまで話すとカナさんの顔が曇る。

「その子が物静かなのは見た目だけだった。裏では何人も遊ぶ男がいるような、まるで彼の母親のようなタイプだったんです。彼はもうひどいショックを受けて・・・
完全な女性不信になってしまったんです。見た目がいいから当然女の子にはもててたけど、一切興味を示さなくなってしまった」

「・・・・」

だから・・・・?
私が知っている彼もそんな感じだった。
たくさんの女性に言い寄られたって、全く相手にする気配が感じられなかった。
・・・・でも、だったらどうして?
尚更私とのことは・・・・

「それから数年後でした。彼が好きな女性ができたと突然言い出したのは」

「・・・・え?」

「もう一生女なんかいらないって豪語してたあの男が、どうしても自分のものにしたいって言い出した女性がいたんです。私は驚きました。それと同時にまた騙されたらどうしようって心配だった」