サヨナラからはじめよう

「司とは幼なじみなんです。お互いちょっと特殊な家庭環境で育って・・・・そんな中でできた大切な友人。それが私たちの関係です」

カナさんはゆっくりと話し始めた。

「私は昔から中性的な顔つきで、それが原因でからかわれることも多かった。そして私自身も自分が男であることに疑問を抱くようになっていって・・・中学校に上がる頃には既に心は完全に女のつもりでいました。ますますいじめはひどくなったけど、そんな中で司だけは何一つ変わらないでいてくれた。彼は私にとってはかけがえのない親友なんです。あ、でも彼に対して恋愛感情を抱いたことはただの一度もありません。彼はそんな括りでは語れない大切な人間なんです。それだけは信じてくださいね」

そう言うととても綺麗な顔で笑った。

「司は司で家庭に問題を抱えていて・・・いつも苦しそうでした。簡単に言えば母親が男に依存するタイプの人間で、父親に捨てられてからも次から次に男を見つけては捨てられる。そういう姿を幼少期からずっと見せられて育ったんです。時には夜の営みを目の前で見せつけられたり、相手の男から暴力を受けることもあったみたいで・・・」


ズキン・・・

初めて聞いた彼の生い立ち。
胸が痛くなる。