「この贅沢者!あんないい男いつまでも待たせるなんて罰が当たるわよっ!」

仕事終わりに一緒になった菜摘とエレベーターに乗り込みながら、開口一番叱られた。

「わかってるよ・・・。だから少し前に中村君に言ったんだよ?正直今は前向きに考えられないから待たないでくれって。他にいい人が見つかればそうしてくれって・・・」

「そうなの?!で?」

「・・・・中途半端な答えは受け付けません。涼子さんの中ではっきりとした答えが見つかるまでは待ち続けます・・・・って」

「ひゅ~っ!中村やるじゃん!恋愛に関してはクールかと思ってたけど、相当暑苦しい奴だったのね」

そうなのだ。
いつまでも私がこんなにぐずぐずしているのだから、彼にはとっくに愛想を尽かされてもおかしくない状況だというのに、彼は全く引く気配がない。
むしろどんどん前に出てきてると言ってもいい。


「私今はホントにそういうことに前向きになれなくて・・・だからこういう状態が続くのは彼にも申し訳ないって思ってるんだけど・・・」

「・・・そんなに前の男のこと引き摺ってるの?」

菜摘はズバッと核心を突いてきた。