すっかり私のまわりには前の日常が戻ってきていた。
あいつのことも頭の隅に追いやり、ほとんど考えることもなくなっていた。
そんな生活が2週間ほど経った頃、家に帰ると一通の手紙が届いていた。
何の変哲もない青い封筒にとても綺麗な字で書かれた宛名。
こんな風に手紙をもらうことなんてまずない私は不思議に思いながら差出人を見た。
そこで動きが止まる。
『南條司』
裏面にはそれだけが書かれていた。
住所も何も書かれていない。
封筒を持つ手が震えてきた。
どうして震えるのか自分でもわからない。
話そうとしていたことを書いているのだろうか。
それとも合い鍵を送ってくれたのだろうか。
その可能性を考えて封筒の上から手探りで鍵を探す。
けれどもそれらしい感触はどこにも見当たらなかった。
・・・ということは中に手紙が入っているということだ。
・・・・怖い。

