それから、司は本当に一切姿を見せなくなった。
最初はマンションの前で待ち構えているんじゃないかと心のどこかで思ってた。
でも次の日も、その次の日も、ずっと現れることはなかった。
本当に終わったんだ。
そう実感した。
思えばあの2週間はどこか非現実的な時間だった。
もしかしたら夢だったんじゃないだろうかと思うくらいに。
でも、家の中にあいつがいた痕跡が至る所に残されている。
畳まれた服に歯ブラシ、使っていた毛布・・・
嫌でも現実だったということを突きつけられる。
あいつが使っていたものは処分してしまおう。
3年前と同じように、また全てをリセットすればいい。
そう決めた。
・・・そういえば合い鍵を渡したままになっていた。
返してもらいたいところだけど、そのために会うつもりもない。
気分がいいものではないけど、彼が悪用するとは思えない。
やむを得ない。鍵は諦めよう。
私は日々そんなことばかり考えていた。

