「涼子・・・・」

司の顔が苦痛に歪んでいく。

なんであんたがそんな顔するのよ。
もうそういうのも本当にうんざりなのよ。


「お願いだから、出てって・・・・」

怖いほどの沈黙が二人を包み込む。

司は唇を噛みしめて俯くと、やがて悲しみに暮れた顔を上げた。

「今日は・・・・帰る。またあらためて話を聞いて欲しい。涼子・・・・すまなかった」


それだけ言い残すと、司は重い足取りで部屋を後にした。
何度も何度もこちらを振り返りながら。

私は一度たりとも見ることはなかった。


やがてバタンと扉が閉まる音が聞こえる。



空っぽになってしまった。
私はまたしても裏切られたのだ。

・・・違う。
自らその罠にはまっただけだ。
結局私は3年前から何一つ成長なんかしていない。