サヨナラからはじめよう



・・・・・・・・
カチャッ・・・

ガタン!バタバタバタ・・・

「涼子さん、お帰りなさい!随分遅かったんですね。あまりにも遅いから何かあったんじゃないかって心配してました」

「・・・・・」

「涼子さん・・・・?」

何も反応しない私を不思議そうに見ている。
そんな彼の横を黙って通り過ぎると、リビングへと足早に移動した。
ふと目に入ってきた時計はもうすぐ夜の11時を指すところだった。

あれから一体何をしていたんだろう。
自分でも全く思い出せない。
どうやってここまで帰ってきたのかも、何もわからない。


「・・・・涼子さん・・・?どうかしたんですか・・・?」

急いで追いかけてきた司が背後から心配そうに声をかける。



「・・・・・・いつから・・・?」

「え?」

「いつからだったの・・・・?・・・・最初から・・・・全部嘘だったの・・・・?」


絞り出すように出した声は震えていた。
顔を見なくてもその場の空気が変わったのがわかった。