サヨナラからはじめよう

「もちろんだよ。この数日ほんとに最悪な体調だったから、とりあえず完全に復活してから出ていくって。だから遅くてもあと数日以内にはいなくなるよ。今度こそ」

「・・・・・そうですか」

中村君はそう言うと何か考え込んでしまった。
さっき何か言いかけたように見えたけど何だったんだろうか。
『あの人は・・・・』に続く言葉は何?
あの人ってどう考えても司のことだよね?

中村君は司のことを何か知っているんだろうか?
でも二人が顔を合わせたのは私が酔って帰った時だけのはず・・・

「とにかくすみませんでした。まだ完全復活じゃないのなら無理はしないでくださいね。辛いときは何でもフォローしますから」

「あ、うん。ありがとう」

ニコッと笑うと中村君は自分のデスクへと戻っていった。
なんだかよくわからないけど、自分の好きな人の傍に他の異性がいるのが面白くないのは当然のことだろう。だから彼が不機嫌になるのも致し方ないのかもしれない。

彼のこともこれからちゃんと考えなければいけないんだ。
なんだか最近本当に慌ただしいな・・・・

とりあえず今は迷惑をかけた分の仕事を頑張らなければ。
すぐに気持ちを切り替えてデスクに向かい合った。