サヨナラからはじめよう

「権限はありません。でも決めたので駄目です」

なんじゃそりゃ!
全くもって意味不明じゃないか!
怒りを通り越して呆れる私を気にすることもなく司は続ける。

「大丈夫です。涼子さんが数日経ってももう大丈夫だとわかれば約束はちゃんと守りますから」

「でも、」

「じゃあ今日のご飯はリビングで食べましょうね。先に行って待ってますから」

「ちょ、ちょっと・・・!」

今度はあいつが私に有無を言わさずさっさと出て行ってしまった。

・・・・・どういうことなんだこれは一体。
数日前とのこの劇的な変わり様は。

・・・・・もうあれこれ考えるだけ無駄だ。
あの様子じゃ説得するのは無理だろう。
それに、実際のところ司がいて助けられたのは事実なのだ。
散々世話になっておきながら、熱が下がったからすぐ出ていけというのもあまりにも非情なのかもしれない。

どちらにしてもあと数日で終わりを迎える生活だ。
最後は揉めずにスッキリ終わりたい。

・・・・よし、そうしよう。

完全に納得したわけではないが、司の言い分を受け入れることを決めた私は気持ちを入れ替えて出社の準備を始めた。