バンバンバンバンッ!バダーーーーンッ!!!

自分でも驚くほど凄まじい足音を立てて、破壊されるんじゃないかという勢いでドアを閉める。
ご近所の皆様ごめんなさい。謝罪はあらためてさせていただきます。
でも今は。
今はそれどころじゃないんですっっ!!!

はぁはぁはぁ。
部屋に入って上がった息をひとまずなんとかしようと深呼吸を繰り返す。

「あの・・・」

「動くなっ!!」

後ろから掛かった声に間髪入れず叫んだ。声に驚いた男は数センチ浮いたように見える。

「いい?あんたをここに連れてきたのはあれ以上あそこで騒がれてあらぬ噂を立てられるのはご免だからよ!親切心でも何でもないから誤解しないで!だから室内に入ってくることは絶対に許さない!」

息継ぎもせずに一気に吐き出し、持っていた鞄で線引きをするように示す。
男は呆気にとられながら、恐る恐る口を開いた。

「・・・助けてくれるんじゃ・・・」

「ない!!」

言い終わる前にスパッと切り落とす。

「そんな・・・僕には本当にあなたしかいないんです!」

「そんなこと勝手に言われても困るの!私があなたを助けなきゃいけない義理なんてどこにもないっ!」

「そんな・・・あなたは僕のことを知っているんですよね?お願いです!僕は誰なんですか?あなたは何故僕を知ってるんですか?思い出そうとしても何もわからないんですっ・・・!」

あまりにも悲痛なその叫び声にさすがに良心が痛んできた。
記憶がない・・・?
ガチなのか?!