「そっか……聞いちゃったか。
くるみが言ったんだよね、多分。
どこまで聞いたかわからないけど……
きっと本当の話だよ。」
「なんで俺に何もいわなかったんだよ。」
「ごめんね。うち、そういうの苦手だから。」
「お前の口から聞きたい。」
「なにを?」
「何があったのか。」
「良いけど……引かないでね?」
コクリとうなずくと静かに話し始めた。
「うちね、両親から捨てられたの。
2歳の時に。だから記憶はない。
でも今の両親が話しているのを聞いて…
知ったんだ。
その時からかな、親を他人と思い始めたのは。
だって、そうでしょ?
血がつながってない。
そんな悲しいことってないでしょ。
うちはそれからいい子を演じ始めた。
わがままを言わない、迷惑をかけない、
言われた通りにする、勉強して主席をとる
全て、頑張った。
完璧な子供を演じたの。
でもね、それが原因かもしれない。
幼稚園で疎まれ始めた。
それがいじめへ発展して……
それを止めようとした先生が自殺した。
自分は誰からも必要とされていない。
そう思ったとき、死のうと思ったの。
家の屋根に座ってね、飛び降りた。
気がついたら病院のベットだった。
親にすごく怒られて…“なんで今まで言わなかったのか”って。
嫌なら学校辞めてもいいって言われた。
だから私、学校辞めて留学したの。
イギリスに。
イギリスは日本と違くて和やかだった。
でも、すぐに帰らなきゃいけなくなってね。
泣く泣く帰ってきたの。
公立の小学校に入って楽しくやってたのに急にいじめられ始めて……
気づけば昔のじぶんがいた。
リストカット、一酸化炭素中毒……
何度も死のうとしたのよ。」
そう言って腕を差し出す。
そこには傷が痛々しく残っていた。
「夏はリストバンドをするから大丈夫。
でもいつばれるかなって怖かった。
バレたら嫌われちゃうんじゃないかなって怖かった。
ごめんなさい。」
謝りながら泣き出す彼女。
彼女を抱きしめた。
俺は彼女を守れなかった。
最近まで体育に出ていないことも気づかなかった。
「ごめん。次からは守るから。」
自然と出てきた言葉。
「ありがとう。」
泣いてるからあんまり聞き取れなかった。
でもきっとそういっていた。
俺はある疑問が生まれた。
「何でさ、私を国立競技場に連れてってなんて言ったんだ?
他にだって部活はたくさんあるだろ。」
「実は恥ずかしいんだけど……うちずっと健太君のこと見てたの。
頑張ってたね、エースとして。」
ずっとみてたとはどーいうことだろうか?
俺なんかを学校の人気者、君島が見てた?
あり得ることなんだろうか?
すると、君島が続けた。
「うち、昔から健太君のこと好きだった。
でも、声をかけられなくてずっと見てたの。
それに気づいたくるみがうちと健太君を近づけてくれた。だからね、健太君がいいんだよ。
全国連れって。」
君島はそういうと、街を見ていた。
俺らの街を。
全国行けるはずだった君島はこの街で多くの経験をした。
つらいつらい経験を。
それでも俺を応援してくれる。
俺はそれがある限り頑張らなくてはいけない。
「花。」
抱きしめながら呼ぶ彼女の名前。
初めて呼んでみた。
少し恥ずかしくて…でも嬉しくて俺は何度も呼んだ。
「花、花、花、花」
「なぁに、健太?」
彼女も嬉しそうに俺の名前を呼ぶ。
名前を呼び合うだけでこんなに幸せだった。
もっと近づきたい。
俺のものになってほしい。
「………」
静かになった屋上で俺は彼女にキスをした。
初めてだったのか唇がふるえていた。
それが俺らの最初のキス。
くるみが言ったんだよね、多分。
どこまで聞いたかわからないけど……
きっと本当の話だよ。」
「なんで俺に何もいわなかったんだよ。」
「ごめんね。うち、そういうの苦手だから。」
「お前の口から聞きたい。」
「なにを?」
「何があったのか。」
「良いけど……引かないでね?」
コクリとうなずくと静かに話し始めた。
「うちね、両親から捨てられたの。
2歳の時に。だから記憶はない。
でも今の両親が話しているのを聞いて…
知ったんだ。
その時からかな、親を他人と思い始めたのは。
だって、そうでしょ?
血がつながってない。
そんな悲しいことってないでしょ。
うちはそれからいい子を演じ始めた。
わがままを言わない、迷惑をかけない、
言われた通りにする、勉強して主席をとる
全て、頑張った。
完璧な子供を演じたの。
でもね、それが原因かもしれない。
幼稚園で疎まれ始めた。
それがいじめへ発展して……
それを止めようとした先生が自殺した。
自分は誰からも必要とされていない。
そう思ったとき、死のうと思ったの。
家の屋根に座ってね、飛び降りた。
気がついたら病院のベットだった。
親にすごく怒られて…“なんで今まで言わなかったのか”って。
嫌なら学校辞めてもいいって言われた。
だから私、学校辞めて留学したの。
イギリスに。
イギリスは日本と違くて和やかだった。
でも、すぐに帰らなきゃいけなくなってね。
泣く泣く帰ってきたの。
公立の小学校に入って楽しくやってたのに急にいじめられ始めて……
気づけば昔のじぶんがいた。
リストカット、一酸化炭素中毒……
何度も死のうとしたのよ。」
そう言って腕を差し出す。
そこには傷が痛々しく残っていた。
「夏はリストバンドをするから大丈夫。
でもいつばれるかなって怖かった。
バレたら嫌われちゃうんじゃないかなって怖かった。
ごめんなさい。」
謝りながら泣き出す彼女。
彼女を抱きしめた。
俺は彼女を守れなかった。
最近まで体育に出ていないことも気づかなかった。
「ごめん。次からは守るから。」
自然と出てきた言葉。
「ありがとう。」
泣いてるからあんまり聞き取れなかった。
でもきっとそういっていた。
俺はある疑問が生まれた。
「何でさ、私を国立競技場に連れてってなんて言ったんだ?
他にだって部活はたくさんあるだろ。」
「実は恥ずかしいんだけど……うちずっと健太君のこと見てたの。
頑張ってたね、エースとして。」
ずっとみてたとはどーいうことだろうか?
俺なんかを学校の人気者、君島が見てた?
あり得ることなんだろうか?
すると、君島が続けた。
「うち、昔から健太君のこと好きだった。
でも、声をかけられなくてずっと見てたの。
それに気づいたくるみがうちと健太君を近づけてくれた。だからね、健太君がいいんだよ。
全国連れって。」
君島はそういうと、街を見ていた。
俺らの街を。
全国行けるはずだった君島はこの街で多くの経験をした。
つらいつらい経験を。
それでも俺を応援してくれる。
俺はそれがある限り頑張らなくてはいけない。
「花。」
抱きしめながら呼ぶ彼女の名前。
初めて呼んでみた。
少し恥ずかしくて…でも嬉しくて俺は何度も呼んだ。
「花、花、花、花」
「なぁに、健太?」
彼女も嬉しそうに俺の名前を呼ぶ。
名前を呼び合うだけでこんなに幸せだった。
もっと近づきたい。
俺のものになってほしい。
「………」
静かになった屋上で俺は彼女にキスをした。
初めてだったのか唇がふるえていた。
それが俺らの最初のキス。


