それでも大好きなバレーをあの子はやめようとしなかった。
その姿勢を見ていた元レギュラーの子たちは
わざとあの子にけがをさせた。
その怪我によりあの子はもう二度と
スポーツが出来ない。
だから体育を毎回休んでる。
詳しく聞きたければあの子に聞いて。」
そう言って教室に戻っていった。
俺は混乱していた。
「いいね、スポーツやれて。」
そういう意味だったのだ。
おまけに言えば、
「うちを国立競技場に連れてって」
は、俺に夢を託したってことか?
とりあえず君島とはなしたいと思った。
保健室に向かう。
ちょうど彼女が保健室から出てきた。
「君島?」
彼女が振り向いて……笑った。
綺麗な笑顔。
その裏にはどんな悲しみがあるのだろう。
「健太君?どうしたの?」
どうしてそんな風に明るくいれるのだろう?
俺が今してきたのはバレーで、それは彼女にとってはかけがえのない大切なスポーツだった。
「いや、お前なんで保健室にいるんだよ?」
「えっ?えっと……」
動揺している。
お前は本当のことをいってくれるか?
俺はいってほしい。
好き同士ではなくても彼氏だし。
「…怪我したから来てただけだよ?」
「なんでうそつくんだよ。」
「えっ?」
困った顔をしている。
言い返そうとしたとき、先生が通りかかった。
「はやく、着替えないと授業始まるわよ」
「はい。すみません。」
君島の手を掴み、誰もいない屋上へ向かう。
授業なんて受けれる状況じゃなかった。
「まって。痛い、離して。」
俺は屋上に着いてから手を離した。
「全部聞いた。だからもう笑うなよ。」
彼女はびっくりして俺を見た。
そして覚悟を決めたように話し始めた。


