文化祭が終わり、授業に戻った。
あの後、くるみにそのことを告げると
「そっか。花も大変だなー」
と、言ったあとに
「あ、健太もしかして花のこと好きになっちゃった?どうせならつきあいなよ!」
って言われ無理やり告白した。
君島は静かに頷き、「お願いします」と言った。
文化祭は一緒に回ったけど別に互い好きなわけではないみたいで、それからは二人で喋らなかった。
でも、くるみがいると君島はよく喋った。
まるで別人のように。
でも、スポーツの話になるとまた下を向いてどこか苦しそうだった。
でも聞いていいのかわからず、俺も試合が近くてそれどころではなくなっていた。
そしてそんなことすっかり忘れていた頃、
体育のバレーの授業で俺は秘密を知る。
男女一人ずつペアになってボールをパスする。くるみは彼氏ともうペアになっていたし、周りの女子もそれぞれペアを組み始めていた。
君島とやろうかな。そう思って辺りを見回すとどこにも姿が見当たらない。
くるみに聞こうとしたとき
「栗田……いないなら一緒にやらない?」
須田麻里南だった。
「おう。麻里南、彼氏は?」
彼女にはサッカー部のキャプテン、龍平とつき合っていた。
「あぁ、龍平とは別れたの。」
そうなのか、初めて知った。
龍平は通称“龍”だ。
龍はふつう通りだったから気づかなかった。
それよりも君島はどこにいるんだろうか?
バレーをしながら考えた。


