一期一会 奇跡と軌跡


「入れろー」「頼む、入れてくれ。」

皆の声がする。

夏季県予選、最後のPK。

俺、二年生エースの栗田健太が蹴る。

入れば同点、外せば負ける。

勝てば全国、負ければ県予選敗退。

先輩たちの最後の大会。

俺はため息をついた。

大丈夫。絶対に入る。

ずっと練習してきたから。

いつだって、頑張ってきたから。

そう思い、思いっ切り蹴った。

ゴール付近で急に曲がるボール。

キーパーも居ないし入るだろう。

と、誰もが思った。



相手のキーパーがボールを取った。

一瞬、何がおきたかわからなかった。

だって、反対側にキーパーはいた。

なのに……なぜこっち側にいる?


隣で先輩が泣いていた。

これで今年の大会は終わりだった。

二年生の俺にはあと一年あるけど……

入れられなかった悔しさ、

最後を任せてくれた先輩たち、

県予選敗退、

色々な感情が複雑に交差して俺は立ったまま泣くしかなかった。

先輩たちはそんな俺に
「ありがとう、栗田。」

「お前が居なければここまでこなかった。」

「来年、全国行けよ!」

と口々に言い、引退した。

いつまでも泣いてはいられない。

明日から練習頑張って絶対に全国に行くんだ。

そう決心した夏だった。