一期一会 奇跡と軌跡


翌日、12月25日

クリスマス、そして花の誕生日。

夜7時、部活が終わり門に向かう。

花は花柄のワンピースにタイツをはいていて、何だか大人っぽく見えた。

「花。」

呼びながら花の方へ走り出す。

花はこっちを向いてにこっと笑った。

きれいな髪を揺らして手を振ってくる。

「花。ごめん、待たせたよな?」

「全然待ってないよ?」

嘘つき。

門の外には30分前から花の姿があったことを俺は知っている。

俺は花の手を無造作に繋ぎ、

「ほら、行くぞ。」

と、引っ張る。

嬉しいのか、花は笑顔だった。

映画も見終わり、話をしながら歩いていた。

ふいに花が人とぶつかる。

「すみません。」

謝る花。

その直後、なんだかおかしかった。

「な……んで?」

花?顔を覗き込む。

顔色が悪く、血の気がない。

なにかあったのか?

1人の女が話しかけてきた。

さっき、花にぶつかった人だった。

「ひさしぶり。花。

三年ぶりだね。」

三年ぶり?

こいつは花の小学生の時の知り合いか?

「花?覚えてないわけないよね?

同じバレー部だった楓だよ?」

花が血の気のない顔で言った。

「楓ちゃん。ひさしぶり。」

お嬢様みたいな挨拶。

相当、楓っていう子は苦手なのだろう。

「ひさしぶり。花はまだバレーしてるの?」

バレー?小学生の頃の知り合いだったら知ってるはずだ。

花が怪我をしてプレーできないことを。

「ううん。出来ないよ。」

「そっか。やっぱり私が不注意でさせちゃったけがのせい?」

こいつが怪我をさせたのか?

なら何で花がプレー出来ないことを知らなかった?

「ううん。違うよ、大丈夫。」

その顔はまるで恐れている感じだった。

「隣、彼氏さん?」

「…うん。まぁね。」

自信なさげにいう。

「そーなんだ!いい人っぽいね。

あ、そうだ!ライン教えてよ。

彼氏さんも。」

「えっ?い、いいよ。」

花は動揺している。

交換した後、俺たちとその子は別れた。

「花?あの子、だれ?」

「楓ちゃんだよ。」

「怪我させたのってあの子?」

「……」

「そーなのか?」

「違うよ。せっかくのデートなんだから、

そんな話するの止めようよ。」

泣き出しそうな花。

俺たちは2人でファーストフード店に入った。

それから何もなく、家まで彼女を送る。

「じゃあな。」

「あ、あのさ。

楓ちゃんとはあまり連絡取らないで。

お願い。」

真剣な目で頼み込んでくる。

「何で?」

「お願い。」

「分かった。」

家に着くと、ラインの通知が来ていた。

【楓です!よろしくね♪】

無視しようと思った。

【何で既読無視するの?】

仕方なく返信する。

【俺、お前とはなすつもりないから。】

【花の過去、聞きたくないの?】

花の過去…?

なんだろう、それ?

【過去は一通り聞いた。】

【そうなんだ!健太君だっけ?

あの子のことそれでも支えているつもり?】

どういうことだろう。

俺に知らないことをこいつは知ってんのか?

その時、花からラインが来た。

【今日はありがとう。

楓ちゃんは私に怪我をさせた張本人なんだ。

だから落ち込んでたけど…もう大丈夫だよ♪

これからもよろしくね。】

花はラインしてほしくないって言ってた。

だから、連絡するのを止めた。

なのに…これが原因でまた花が自殺未遂するとは思わなかった。