桜が散ったあと甘々しい春の匂いが新しい生活に変える事を教えるようだ。
私は端山沙綺羅。ランドセルとお別れで中学生だ。
明日になれば、立派な中学生だ。

ピリリリリリッ

目覚ましが耳元で五月蝿く鳴って、耳にキーンと響く。
なのに、一向に瞼を開こうとせずに眉間にシワを寄せてハート柄の厚い掛け布団を抱き枕にして抱きついて口からは思いっきり涎が垂れている。

「いい加減に起きろ! この馬鹿!」

沙綺羅はビクっと反応して目を開いた。寝ぼけた黒い瞳で何が起こったのかと首を動かして見る視界を変える。

すると、動かしている瞳が止まる。沙綺羅の瞳に映ったのは黒いエプロンをみにつけている様々な茶色が混ざっている髪の毛の沙綺羅の姉……明日美だ。

そう分かった瞬間、沙綺羅の顔が歪みそして真っ青になった。
急いで体を起こして、髪の毛を揺さぶる。

「入学早々遅刻するきかっ! 馬鹿!」