一番古い記憶は、ママのお腹のなか、暖かくて、ふわふわして、ママの声もパパの声も聞こえたんだ、蹴ってないよ、ノックしていたんだ。もしもしーって言うから、はーいって、返事していたんだよ。はじめましてっていいたかったのに、何だかびっくりしちゃって、泣いちゃったんだ。まぶしくて、先生が怖い顔していたから、声を出したら笑ってくれた。
ママは、心配性だったね。母子手帳が真っ黒になるくらいあたしのことばかり書いてあった。大泉門がぺこぺこしているだけで、心配しちゃうんだもん。ママ、もっとお話ししたかったよ。ママがミルクを作ってくれて、パパが飲ませてくれて、ゲップさせるの忘れるから、ベットにはいちゃったよ。ごめんね、心配かけて。ママ、どうしてあたしを置いて死んじゃったの?さみしいよ。
もっと生きていてほしかった。笑顔ばっかりじゃなかった。だけれど、あまりに時間がなくてママのこと覚えていないんだよ。抱っこしてくれたことも手をつないだことも声も顔も、もう何も残ってないよ。写真の中のママは、いつもおんなじ顔している
怒っているのか泣いているのかさえ分からないけれど、それでも、あたしはママのいない世界を生きている