「ごめんね、散らかってて!
昔はよく来てたよね、奏多君も。
あ、コーヒー入れるね」
「あ、ありがとうございます」
ママがご機嫌でコーヒーを
入れに行くと奏多はため息をつく。
「奏多............大丈夫?
めちゃめちゃ緊張してるよね」
「そりゃ緊張するだろ............
これから自分と結婚する
人の家だぞ?」
胸がきゅん、と締め付けられる。
結婚する人の家。
奏多はママに挨拶してくれるんだね。
「................懐かしいな................」
「覚えてるの!?」
「そりゃ覚えてる。
................泊まった事も何回もあるし
お前の事.................あ、何でもねーや」
コーヒー入れたよ、という声と
共にママが笑顔で歩いてくる。
再び奏多がシャキっとなり
コーヒーを啜る音が響く。