蓮斗saidー

「千佳……っ」

千佳の体はもう限界だった。


意識がなくなり、呼吸もしていない。


何でだよ……。
俺が傍にいれば千佳は治るんじゃないのかよ……。



「先生……もう……」

看護師の人が悲しそうな顔をしていた。

まさか……


「残念ですが……」

「何でだよ……何で諦めるんだよ!もう少し、もう少し治療しろよ!」

俺は先生の胸ぐらを掴んだ。


「残念ながら……彼女はもう……。12時40分死亡確認」

し……ぼう……?

嘘だよな?
千佳が死ぬわけねぇじゃねぇか。


だってまだ……


「千佳……生きてんだろ……?だって俺達まだ……デートしてねぇじゃん。遊園地……動物園……まだどこにも行ってねぇだろ……?目覚ませよ……千佳……目覚ませよ!」


頼む……千佳……。
目覚ましてくれ……。


「祐助君……」


「千佳ぁぁぁぁぁあ!!!」

病室に俺の叫び声がこだました。