千佳に「さよなら」を告げてから1週間。

病院には一度も行ってない。

まぁ、俺が勝手にさよならしたんだけど。


「蓮斗ぉー♪カラオケ行かねぇ?」

「行かない」


あの日からずっと、祥也の遊びの誘いにはのってない。


なんか遊ぶ気分になれねぇんだよな。


「ノリわりー」

「うるせーよ」

「もしかして蓮斗さー。千佳ちゃんの事で凹んでる?」

「は?」

祥也には、千佳が病気の事も俺が千佳に会えなくなったのも全部話した。

祥也なら信用出来るしな。


「会えなくて寂しい気持ちも分かるけど、それでおわっちまうのはどうかと思うぞ?」

「どういう事だよ」

「だーかーらー。会いたいって言葉にするだけじゃダメってこと。実行しないと」

「……」

実行……か。
それが出来たら苦労しねぇよ。

俺はもう……千佳と会っちゃいけねぇんだから。


「会っちゃいけないって千佳ちゃんのお父さんに言われたからそれで引っ込むの?」

「え……」

こいつ……俺の気持ち……読んでる……。


「俺だって……」

「何かした?千佳ちゃんに会う為に何か考えて実行した?」

「……」

なんか、祥也にうまくのせられてる気がする。