おじさんが周りを見渡すが、エアコンや扇風機は起動していない。



「おかしいわねぇ。今日なんてとっても気温高いのよ?」

「風邪でもひいたかな…」




「…移動するか。」

少年がぽつりと呟くと、少女の腕を引いて走り出した。


「え、ちょっ…」






マンションの屋上まで来ると、少年は胡座をかいた。


「あの…」

「なんだよ。」

「わたしが、見えるの?」

「あぁ。」

「そ、そっか…」


少女は次に何を喋っていいかわからなくなり、黙り込んだ。