もう一度掛けようとするが、手がドアノブに掛からない。



「な…なんで…」



咄嗟に少女は自分の頬を思いっきり抓る。
しかし残るのは痛みばかりで、一向にこの"悪い夢"は覚める気配がない。



「どうしよ…」

と、ドアにもたれ掛かろうとしたら盛大に尻餅をついた。

まるでドアが一瞬消えたかと思ったが、どうやら違うらしい。


お陰で少女は少年の部屋を出て廊下に抜け出すことができたのだが…



「なんでこんな…」


少女の広げた手のひらは半透明になっていて、床のフローリングが透けていた。



「ここ、どこ…?」