「蕎麦ってね、美味いんだよ」
「もちろん知ってます!」
「なんだ、知ってるのかい」
「ちょうどみんなで蕎麦の話をしてたところなんです。お腹減ったねーって」
「じゃ、ちょうど良かった。ところであたしも一緒に食べていいかい? 毎日一人じゃ寂しいからさ」
そう言いながら勝手に上がり込んできた後藤さんは、流川と麻紀を見て「ほおっ」と感心している。
「美男美女だこと。恋人同士かい?」
「いや、こっちが親友で、こっちは彼氏です」
「あら、唯衣ちゃんの彼氏なのかい? てっきりこっちとこっちの組み合わせかと思ったよ」
「……」
悪気はまったくない後藤さんと一緒に、4人で蕎麦をすする。
「あ~、美味しいなぁ、引っ越し蕎麦」
ありがとう後藤さん。
そのうち、このアパートを建て直す原因になったガス爆発を起こした青木さんの話になった。


