「まあ、落ち着け」
「どーしたの? 仲居さん」
とりあえずカラダを起こして尋ねると。
「あ、あの……この赤いスカーフ、カエルさんのじゃないかと思いまして……」
仲居さんが握っていたのは、赤いスカーフ。
「あれ? ホントだ。カエルのだ。いつのまに落ちたんだろ?」
私たちと違って、座イスでマイペースにのんびりしているカエルの首には、確かにスカーフが巻かれていない。
「ありがと~、仲居さん」
「い、いえっ。良かったです、カエルさんに届けることができて。は、はい」
もたつきながらも、シャキンと正座の体勢になった仲居さんは、
「せっかく今日はオシャレしてきてくれたんですもんねー? カエルさん」
私も流川も、釣られてそっちを向いたものの。
「………」
くつろいで笑っているカエルがいるだけで、返事はない。
一瞬、微妙な空気が流れるけれど、そこは仲居さん相手だから。
「ぷっ」と笑えるところが心地良い。


