「……なんで逃げねぇんだよ」
「……なんで、…って」
「ふさがれたい、ってわけか」
私たちのあいだに、遮るものはなにもない。
ちゃんと、つながった気持ちの他には。
「……お前、正直だよな。すぐに顔に出る」
ふっと笑った流川の目の中に、私がいる。
私の視界にも、流川だけ。
ふいに、柔らかな唇が落とされて。
唇の上に、ちゅっと軽いリップ音。
そのまま、すっ…っと移動された熱は、私の首筋をもてあそぶ。
「…んっ…」
そこ、私が弱いのを知っているくせに。
「どうした? そんな切ない声出して」
顔を上げた流川がイジワルに笑う。


