「ねえ、唯衣」
「うん? なに?」
泳ぎ飽きたのか、麻紀が隣にすい~っと移動してきた。
「祐二ってさ、ホントにバカだと思わない?」
「うん。あ、ごめん」
ついうっかり……。
「なに? 急にどしたの?」
「あいつってさ、いつもおちゃらけてるでしょ? あたしと二人のときも、みんなと一緒のときもずっとあんな調子でさ」
「うん? うん」
「今日なんてさ、“いつも麻紀とふたりきりじゃ飽きる”とか言ってたじゃん? 出発するとき」
「うん? うん」
「女の子みつけると犬みたいに駆け寄って行くし」
「うん」
「あいつにはさ、あたしじゃなくてもいいような気がするんだよね、最近特に」
「……え?」
「潮どきなのかな~」