「あ、あのさ、もし幽霊話がガチだとして、どうして今日出るかもって話になるの……?」
おずおずと尋ねると、仲居さんは幽霊ポーズのまま流川の方を向いた。
「このとおり、相当なイケメンさんがいらっしゃいますし。その女の人の幽霊、冬の雪の多い日に現れる確率が高いんです」
「ま、マジで……? どうしよう……」
びびる私と幽霊ポーズの仲居さんに、あきれた息を吐き出した流川。
「そんなの出るわけねーだろ」
「で、でも、見たことがある人がいるって噂だよ?」
「オレは自分が見たことしか信じない」
「……だよね。流川だもんね」
「だいたいなんだ、そのイケメン好きって。だったらこんな山の中で探すことねーだろ。街中にでも連れてってやればいいんじゃねーのか?」
いや、そういう話ですか、これ?


