「……こんのぉ……バカ祐二!!」
三角白目になった麻紀のこぶしが震えている。
やばい。廊下で乱闘勃発かもっ。
「……ま、いいや。先に行こ、唯衣」
「へ?」
あらら? 攻撃なし? いつもならここで飛び蹴りするはずなんだけど。
「……あたしさ、たまに思うんだよね。祐二と付き合ってるの、何か、間違ってるんじゃないかって。……あいつ、あたしのこと本当に好きなのかな」
「え?」
「……なんてねっ」
あははっと笑い飛ばした麻紀は、
「唯衣、あとで露天風呂に行こ」
いつもの調子に戻って、案内された部屋に入っていった。
「麻紀……どうしたんだろ」
ああいう麻紀のテンション、慣れてないからちょっと心配。
少し不安に思いながら、隣の自分たちの部屋に入った私と流川。
仲居さんにお茶を入れてもらって、ふうっと一息ついた。


