「じゃ、これで」
「あ、ごちそうさまでした!」
3人でお礼を言い、よいしょと立ち上がった後藤さんを見送る。
「あたしもそろそろ帰ろうかなー」
と言った麻紀は「あ、そうだ」と手を叩いた。
鼻の穴を広げて、得意げな顔をしている。
ということは。出るぞ、「すごいでしょ」話。
「唯衣、あたしさ、また当てたんだよね、温泉旅行」
「え? 温泉旅行?」
「そうそう、前にみんなで行ったじゃん、あの天然仲居さんのいる旅館。そこの無料宿泊券4人分、また当てたんだー」
「うそっ! すごい!」
「行くでしょ? 行くよね? 行かないとは言わせないよ? もう予約しちゃったし。ちなみに来週だから」
「ま、また勝手に……」
……ちらり。
と麻紀とふたり、流川へ視線を送る。
「……」
あちゃ~……やっぱり渋い顔。


