待合室の前を瀬口先生が通った。
若い綺麗な女の人と。

ヤキモチって言うのかな?
なんかモヤモヤしちゃう私。

私と先生はただの”教官と教習生”って関係に変わりないのに。


「山口さん、森川さん。」

「はい。」

「はい。」

いよいよ、始まる。

「教習生カードと仮免だけ出しといてね。森川さんは中で本人確認するから、先に座っておいて。」

「はい。」

少し厳しそうな人。
この人にオッケーもらえるように頑張らなきゃ。


「はい、じゃあ、教習生番号と名前、生年月日を言って下さい。」

「はい。B127…」

1人目の卒検が始まる。

車に乗るときからスタート。

後部座席に座りながらもドキドキしてる。
だって、次は私の番。

「そこの交差点で左折です。」

「はい。」

教官がコースを言う。
それ以外は何も離さないから、車内では緊張感がすごい。

路上コースが終わり、発着点に止め、降りる。
これでまずはひと段落。

「では、エンジンかけて方向変換しましょう。」

「はい。」

私の場合は縦列駐車だもんね。
イメージトレーニングしとこ。


「では、発着点に戻りましょうか。」

1人目の検定が終わった。
途中で検定中止にならなかったということは、この人は…合格。

「森川さんは降りて待っておいて。」

「はい。」