ついに、卒業検定。

すごく緊張している。


「おはようございます!今日は…検定ですね。では、3階の2教室でお待ち下さい。」

「はい。」


教室に入ると、今日の検定コースと検定員の名前が書かれた紙がホワイトボードに貼られていた。

「私は…2コース。」

2コースは縦列駐車。


検定員は知らない人だった。



席に座り、コースの書かれた地図を見る。

右折、左折、左折、右折…教習所。

それから縦列駐車。



これが私の検定コース。


続々と教室に人が集まってくる。

私の同乗者は同性で、年も近そうな人。



「はい、皆さんおはようございます〜。もう全員集まったみたいやし、説明始めますね〜。」

教室に入って来たのは佐々木先生だった。

「では、まず、ここの列に座ってる人は1号車で、山中が担当します。で、ここの列は2号車で、富田が担当します。3号車、この列は俺、佐々木が担当します。」

佐々木先生が説明している間も、頭の中でイメージトレーニングをしていた。

右折…左折…。


私は2番目に運転するため、まずは1番目に運転する人の後部座席に座る。

1番目じゃなくて良かった。とホッとした。


説明が終わり、待機室へ移動。

「お、頑張れよ。」

「はい…。」

「ガチガチやん。いつも通りな。」

「頑張ります…。」

「成るように成る!」

「はい!」

教室を出るときに佐々木先生に声を掛けてもらえたおかげで、少し力を抜くことができた。


待合室には今日卒業検定を受ける8人がいてるが、すごく静か。

待合室からは所内のコースが見える。

「そうですか〜。あ、じゃあ20号車で。」

ぞろぞろと待合室の前を教官と教習生が通る。
今から実車の人たち。

もう、あんな感じで教官と話しながら車に乗ることはないんだよね。

まあ、合格したら、だけど。