「今日は方向転換をするからな。」
「はい…。」
「次回は縦列駐車だから、今回と次回は所内でやるから、この2時間は頑張ろな。」
「はい!」

私が出来るか不安としてる方向転換と縦列駐車。


所内での運転はすごく安心する。
1段階のときのことを思い出して懐かしい。

この時間は急ブレーキの項目をやり、その後に方向変換。


急ブレーキはすぐ終わり、早速方向変換。

「もう少し前まで出てから…」

ふと前を見ると、クランクのところに一台の教習車。
私も頑張ってたな〜、と見ると、運転してるのは女の人。
隣の教官は……。

瀬口先生!!


パッと目が合う。

なんだか、切ない表情に見えた。

先生…??


「で、このポールより前で止まる。」
「あ、はい!この辺で…。」

ダメダメ!今は集中!!

つい、瀬口先生のことが気になる。


今、ここまで進んでるよ。
頑張ってるよ。
って姿を見せたい。

と思ってて先生が私のことちっとも見てない可能性だってあるけど…。


「お、自分、上手いやん!この調子で何回かやろか。」
「はい!」


方向変換をする場所と、クランクの場所は真正面。
また、正面に教習車…と思うと、さっきと同じ、瀬口先生。

さっきの切ない表情が忘れられなくて、前を見ないようにした。
「後方よし。」

集中、集中!!

そう、自分に言い聞かせる。


「よし、今日はここまで。今度は縦列駐車やから。」
「はい。」
「また復習しててな!」
「はい!ありがとうございました!」



次の時間の学科を受けてるときも、さっき先生と目が合ったことを思い出していた。

あの後も何度か目が合いそうになった気がする。


瀬口先生のあの表情は何だったのかな。