何か見てはいけないものを見た気がしているのに目が離せない。 なぜかあたしの鼓動は速さを増していく。 どうして泣いているの? あなたも泣くことがあるの? あんなにも人に信頼されて。 ばさっ。 何かが落ちる音がすると、さっときれいな泣き顔があたしを捉えた。 ドクン。ドクン。 あたしはびくっとして足元に目線を移す。 落ちたのはあたしが持ってきた小説だったようだ。 なんだか気まずくて、自分の心音がうるさくて、 急いで本を拾ってあたしは出口に向かう。 「待ってっ!」